事業所としての熱中症対策
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ここ数年の天候はどの季節においても極端であったり急な嵐があったりなど、ずっと異常な状態が続いているというよりも気候が変わってきたのではないかと思えるほど、一昔前の四季とはかけ離れてきているように見えます。先日もまだ4月だというのに真夏日の気温を記録する地域も出ました。
季節の変わり目へとさしかかるこの時期、体がついていかない感覚をよく覚えますよね。そのため自律神経の乱れや急な暑さによる熱中症などには特に注意が必要です。
例年、この5月から厚生労働省が熱中症予防対策の徹底を図るためにその関係省庁及び関係団体との連携の下、『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン』を行っています。
【期間】5月1日~9月30日 ※7月を重点取組期間とする。また4月は準備期間とされていました。
【目的】各団体において個々に実施されていた取組について相互に連携を図り、一体的に推進することにより、事業場における熱中症防止に対する意識の向上及び責任体制の確立を含む対策の徹底を図ること
【周知・啓発の重点項目】
➀暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた熱中症予防対策を適切に実施すること
➁作業を管理する者及び労働者に対してあらかじめ労働衛生教育を行うこと
➂糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対して医師等の意見を踏まえた配慮をおこなうこと
※暑さ指数(=Wet-Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度、単位:℃)
作業場所が熱中症のリスクが存在する暑熱環境であるかどうかを客観的に評価するためには、気温だけでなく湿度、風速、輻射熱(放射熱)、身体作業強度、作業服の熱特性を考慮する必要があります。これらの因子をすべて考慮し、熱中症の発生リスクの有無をスクリーニングする指標がこの暑さ指数です。暑さ指数計を配備する等により、暑さ指数を求めることが望まれています。
厚生労働省は、事業場への熱中症予防に関する周知・啓発を行う他、熱中症に関する資料やオンライン講習動画等を掲載しているポータルサイトを運営し、周知・啓発については上記の3点を重点的に呼びかけることとしています。
事業所に対してはその目的のため準備期間であった4月には次のようなことが準備すべき事としてチェック・確認が促されていました。
〇事業場での熱中症予防の責任体制を確立すること
〇暑さ指数を把握するためのJIS規格に適合した暑さ指数計を準備し、点検すること
〇暑さ指数に応じた休憩時間の確保や作業中止に関する事項などを含めた作業計画を策定すること
〇簡易な屋根、通風または冷房設備、散水設備の設置を検討すること
〇冷房を備えた休憩場所や涼しい休憩場所の確保を検討すること
〇透湿性と通気性の良い服装を準備したり身体を冷却する機能をもつ服の着用も検討すること
〇緊急時の対応を事前に確認し労働者に周知すること
〇管理者・労働者に対する教育研修を実施すること
この中では特に熱中症対策の指標となる暑さ指数を計測する暑さ指数計を準備することと、緊急時に対応の遅れることがないようその手順を事業所全体で確認・周知することが重要とされています。
そしてこの5月からキャンペーンに突入、この期間に事業所がすべきこととして、まず『暑さ指数の把握と評価』をした上で、その暑さ指数に応じて以下の対策を徹底することが求められています。
◎暑さ指数低減のための対策設備や休憩場所の設置・利用と服装の着用をする
◎作業計画に基づき、暑さ指数に応じた作業時間の短縮(休憩・作業中止)を行う
◎7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に延長する暑熱順化を、新規入職者や休み明け労働者には特に注意しながら行う
※夏季休暇等のため熱へのばく露が中断すると4日後には暑熱順化の顕著な喪失が始まる
◎労働者にのどの渇きの有無に関わらず水分と塩分を定期的に摂取させる
※尿の回数が少ないまた尿の色が普段より濃い状態は体内の水分が不足している状態である可能性があることを周知
◎作業開始前や休憩時間中に深部体温を低減するプレクーリング
※内部冷却ができ冷却効果の高いアイススラリー(微細な氷と液体の混じり合った流動性のある氷状飲料)の摂取が注目されている
◎次の疾病を持った方には医師等の意見を踏まえた健康診断結果に基づく対応をする
➀糖尿病 ➁高血圧症 ➂心疾患 ➃腎不全 ➄精神・神経関係の疾患 ➅広範囲の皮膚疾患 ➆感冒 ➇下痢
◎日常の健康管理について、例えば当日の朝食の未摂取や睡眠不足・前日の多量の飲酒が熱中症の発症に影響を与えることを指導し、さらにそういった健康状態の確認を作業開始前に行う
※熱中症の具体的症状についても教育し、労働者自身が早期に気付けるようにすることも大事である
◎管理者は巡視を頻繁に行い声をかけ、労働者にお互いの健康状態を留意するよう指導し、作業中の労働者の健康状態の確認を怠らない
※単独作業を避けられない場合はウェアラブルデバイス(スマートウォッチやスマートグラスのような手首や腕・頭などに装着するコンピューターデバイスで、バイタルデータや心電図や脳波の計測が可能といった医療的機能がある)導入を検討することや体調の定期連絡など常に状況を確認できる態勢を確保する
◎少しでも本人や周りが異変を感じたら、必ず一旦作業を離れ、病院に搬送する(症状に応じて救急隊を要請)
※まずは全身を濡らして送風することなどにより体温を低減する、またそのような状態にある人を一人きりにしない
重点取組期間とされる7月においては、これらの対策をもっと徹底させたり、必要に応じて対策を増やすことが望ましいとされ、体調不良の者に異常を認めたときは、躊躇することなく救急隊を要請するようにと言われています。
これだけの対策をするよう促されているのは、実際に熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者が多くいるからです。ずっと右肩上がりではないものの、2018年の1178人とその中の死亡者数では2022年の30人を最高値として10年前の2014年に比べると相対的に増えてきています。ちなみに昨年は1045人でうち死亡者が28人となっています。
業種別にみると、最も多いのが建設業次いで製造業です。この2つで全体の4割を占めています。月別ではやはり1年の中で最も暑さの最盛期である7月と8月が多く、時間帯別では一番多いのが15時台で次いで11時台となっています。作業終了後、帰宅してから体調が悪化し病院へ搬送されるケースも目につきますから、仕事後も自分の体調の変化には充分な注意が必要なようです。
年齢別では50歳以上が全体の半分を占めている状況であり、高齢化の進む業界では労働者の大半が特に配慮しなければならない人である可能性があります。
昨年の熱中症による死亡例28件のうち、このキャンペーンの重点項目➀を行ったことが確認できなかった例が24件、➁の実施を確認できなかった例が18件、➂に関連して熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病や所見を有している事が明らかな例が10 件、さらに発症時・緊急時の措置の確認・周知していたことを確認できなかった例が25件あったとのことで、重点項目とされている理由と対策や措置の確認・周知しておくことの重要性がよくわかるデータの分析結果となっていますね。
運送業はどうなのでしょうか?熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数は1位建設業、2位製造業ですが、じつは3位が運送業となっていて他業界に比べ多くなっています。人数の割には死亡者が比較的少ないという特徴がありますが、けして油断のできるものではありません。特にトラックや軽貨物のドライバーは業務中は一人です。突然具合が悪くなって倒れてしまったりした場合、人の往来の少ない場所ではすぐに気づいてもらえないかもしれないというリスクが伴います。早く異変に気付くことも熱中症で最悪のケースにしない大事なことの一つですから自らの健康管理はもちろんですが、事業所としてもどう管理するかが熱中症対策をする時の焦点となります。
熱中症が怖いものであることは皆さんもご存知のとおりだと思いますが、個々の対策や健康管理に加え、事業所の一員としても周りと連携をとって熱中症に備える行動を心がけていきましょう!