確定申告(令和4年分)の変更点について
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今年もこの時期がやってまいりました。事業主である方や一定の年金や副業による所得のある方は確定申告をしなければなりません。
2023年の確定申告の期間は2023年2月15日~3月15日となっています。
コロナ禍にあった近年、期限も柔軟な対応がされてきましたが、今回の申告・納付期限は通常どおりとなっていますので注意して下さい。確定申告に関する情報は国税庁のサイトに掲載されます。今後の情報にも気をつけつつ、早めの申告・納付を心がけましょう。(申告を済ませていても納付を期日までに済ませないと延滞税が課せられる可能性があります。振替納税を選択した人は2023年4月中旬ごろ振替となるので預金残高のチェックも忘れないようにしましょう)
申告するすべての人に関わるような大きな変更点といえるものこそないものの、今回もいくつもの変更点がありますので、大きく3つに分けて確認しておきたいと思います。
【確定申告の書類に関わる変更点】
〇申告書Aの廃止、申告書の一本化
これまで主に副業・医療費控除・年金収入のある会社勤めの人を対象とした簡易版といえる「申告書A」と個人事業主を対象とした汎用版の「申告書B」に書類が分かれていましたが、今回から様式が統合され、確定申告を行うすべての対象者が同じ申告書を使うことになりました。一緒になった分見た目には項目の多い書類になりますが、基本的にはこれまでと変わりありません。申告書を書く時は記入箇所や内容をよく確認してください。
〇申告書第五表(修正申告用)の廃止、第一表に修正申告欄が追加
修正申告は確定申告期限内に申告した税額が本来納付すべき額より少なかった場合に申告期限後に修正して申告し追加納税する手続きです。これまで修正申告には申告書の第一表と第五表の提出が必要でしたが、第一表に欄が追加され、そこに修正前の税額と修正後の増加する税額のみ記載すればよくなり簡素化されました。
※上記二つの変更により、申告書の種類は「申告書第一表」「申告書第二表」「別表第三表(分離)」「別表第四表(一)(損失)」「別表第四表(二)(損失)」の5つになりました。
〇一定の雑所得の申告で収支内訳書の提出が必要となった
これまで白色申告で事業所得や不動産所得などの所得についてのみ提出を求められた収支内訳書ですが、今回から副業の収入など営利を目的とした継続的な「業務に係る雑所得」について、前々年分の雑所得の年間売上高が1,000万円を超えた場合には収支内訳書を提出しなければならないと義務化されました。雑所得の金額ではなく売上高によるというところに注意しましょう。
〇「業務に係る雑所得」において書類の取扱いの厳格化
雑所得は「公的年金等」「業務に係るもの」「それ以外」の3種類に分けられています。ここで言われている「業務に係る雑所得」は具体的にいうと『原稿料・講演料・デザイン料・ネットオークション・フリーマーケット・シェアリングエコノミーなど』による収入のことです。「業務に係る雑所得」においては前々年分の売上高が300万円を超えた場合に、請求書や領収書などの取引に関する書類を確定申告後5年間保存することが義務化されました。
【税制の改正に伴う変更点】
〇「住宅ローン控除」の適用期限延長等
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除又は特定増改築等住宅借入金等特別控除)は住宅ローンを組んでマイホームの取得・新築・増改築を行った時、その住宅に住んでいる人を対象に、所得税額から一定の控除を受けられる税額控除です。これについて次のような変更点があります。
・対象期間を4年延長(2025年12月31日までに入居した人が対象)
・控除率を住宅ローンの残高の1%から0.7%に引き下げ
・所得制限を3,000万円から2,000万円に引き下げ
・所得が1,000万円以下の場合の床面積要件を緩和
・新築住宅の控除期間が原則10年から13年に延長(中古住宅は10年で据え置き)
〇居住用財産の買い替えなどに関する特例等の見直し
マイホームの買い替えで売却益がでた場合、買い替えた住宅を将来売却するまでその売却益に対する課税を繰り延べさせることができる特例(特定の住居用財産の買替及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例)があります。
※非課税になるわけではありません
これについて『特例の対象となる期間を2年延長(2023年12月31日まで)』と『新築住宅の場合は一定の省エネルギー基準に適合しているものを対象とする』という2点の変更がされました。一方で買い替えによる損失のある人についての規定の見直しもされています。
【その他の変更点】
〇関連書類が電子データで提供可能に
年末調整や確定申告において所得控除・税額控除を適用するにはそれぞれの証明書や根拠資料の添付又は提示が必要でした。電子帳簿保存法の改正によりすでに「生命保険料控除・地震保険料控除・寄付金控除・住宅ローン控除」については電子データでの提出が可能でしたが、今回より『社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除』も電子データでの提出ができるようになりました。
〇スマホアプリ納付が可能に
QRコード決済(PayPay、d払い、au PAY、LINE Pay、メルペイ、Amazon Payの6種)を用いた国税の納付が2022年12月1日から可能となっています。「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスし、決済方法を選ぶとチャージした残高から納税額が差し引かれる形です。一度の納付手続きにつき30万円の上限があります。またクレジットカード決済による納付では決済手数料の負担がありますが、QRコード決済では負担もなく納付に出向く手間がありません。24時間対応でポイントも付与される決済方法もあります。
〇スマホで決算書が作成可能に
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、今回から青色申告決算書・収支内訳書がスマホからも作成できるようになりました。マイナポータルとの連携で、確定申告手続きに関する控除証明書などの必要データを一括取得し、各項目へ自動的に入力する機能も拡大されていて、この2023年からは医療費通知情報(1年分)・公的年金などの源泉徴収票・国民年金保険控除証明書も加わります。
他にも書類関係では、従来所得税や個人事業者の消費税について引っ越し等によって納税地が変わった時に提出しなければならなかった「納税地の異動又は変更に関する届出書」が不要となったり(振替納税の継続も申告書の該当欄に〇するだけでOK)、確定申告書でも公金受取口座の登録が可能になったり、申告書第二表の住民税に関する事項欄に「退職所得のある配偶者・親族」の情報を記載する欄が新設されたりもしており、様々なところで簡素化や利便性の向上が進められています。
また、上記の「業務に係る雑所得」の収支内訳書提出や書類の取扱いに関連して、政府主導の働き方改革の影響もあって副業が注目されていますが、その中には店舗や事務所のないものも多く国が捕捉しきれない部分や、事業としての実体がないにもかかわらず事業所得者や青色申告者の届出をして税法上のメリットを得て節税する「副業節税」の問題もあり、この2022年分から副業に係る所得の取扱いが明らかにされました。
◎記帳・帳簿書類の保存がされている場合は原則事業所得とする
(ただし収入金額が300万円以下かつ本業収入の1割未満・赤字継続でありながら解消の取り組みなしなどの場合は個別判断)
◎記帳・帳簿書類の保存がされていない場合は業務に係る雑所得とする
(ただし収入金額が300万円超えていて事業所得と認められる事実がある時は事業所得として扱われる)
軽貨物運送業も軽貨物車両の自由化などにより副業として一層注目されている事業です。副業であっても基本的に個人事業主となって事業を行うわけですが、税法上のルールにも十分気をつけて申告もしっかり行いましょう。
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